交通事故による怪我で、最も負う可能性が高いといわれている「むちうち」。
交通事故でむちうちになった場合、いつまで通院するのか、後遺症を残さないためにはどうすれば良いのか、気になる方も多いかと思います。また、通院日数によって、もらえる慰謝料の金額も変わってきます。
むちうちの通院期間はいつまで?
- 通院頻度:最低でも「週2、3回」
- 通院期間:一般的に「1〜3ヶ月」(長くても6ヶ月)
通院頻度や通院期間は、交通事故の状況や怪我の度合いによって変動するものです。そのため、あくまで目安として覚えておいてください。
また、通院頻度は、保険会社からの治療費の打ち切りにもつながります。できるだけしっかりと通院するようにしましょう。
むちうちが後遺症になってしまうことも…
定期的な通院を怠ってしまうと、場合によってはむちうちが後遺症になってしまうこともあります。
むちうちは適切に施術を受けていただければ、ほとんどの症状が改善していきます。
むちうちで慰謝料はもらえる?
物損事故の場合、被害者は慰謝料を受け取ることができません。しかし、人身事故の場合、被害者は慰謝料を受け取ることができます。
むちうちの慰謝料の相場は?
慰謝料と一口にいっても、どこに請求するかで受け取れる金額が変わってくることもあります。
慰謝料の基準は主に3つあり、①自賠責保険基準 ②任意保険基準 ③弁護士基準となります。それぞれの基準の相場について述べていきます。
3つの基準の使い分け方は?
慰謝料の計算には、①自賠責保険基準 ②任意保険基準 ③弁護士基準と3つの基準がありますが、どのように使い分けるのでしょうか。
3つの基準の使い分け方は、以下の通りです。
- 自賠責基準
慰謝料・治療費・休業損害など、全てひっくるめた賠償金の支払総額が120万円以下の場合に適用される。 - 任意保険基準
被害者に支払うべき賠償金の総額が120万円を超える場合、加害者の保険から補填する。 - 弁護士基準
弁護士が保険会社と交渉する場合に適用される。また、双方が示談に納得が行かず裁判になる場合に適用される。
①自賠責基準の場合のむち打ち相場
自賠責保険基準は『1日あたり4,200円』、限度額は総額120万円(慰謝料を含む賠償金全て)と決められています。
(※この120万円の限度額を超えてしまった場合には、任意保険の基準で慰謝料を算出することになります。)
計算方法は、実通院日数×2と、通院期間で、どちらか少ない方の日数をもとに4200円掛けて計算します。
- (例)むちうちで2ヶ月の間に20日通院した場合
実通院日数の2倍である40日を基準にして計算すると、入通院慰謝料の金額は、
【4200円×40日=16万8000円】が相場となります。
②任意保険基準の場合のむち打ち相場
これは、事故の状況や怪我の度合いによっても変動があります。
各保険会社で、基準がことなるようです。
大まかな慰謝料基準は、入院していた期間(1ヶ月30日算出)と、通院していた期間(1ヶ月30日算出)によって計算されます。
- (例)入院の場合:252,000円 通院の場合:126,000円
詳しくは加害者側の保険会社にお尋ねください。
③弁護士基準の場合のむち打ち相場
弁護士基準の場合、治療期間2ヶ月の通院の場合には、36万円~52万円程度が相場となるようです。
弁護士基準をを使う場合、弁護士に依頼をしなくてならず、弁護士費用がかかってしまいます。しかし、自身の加入している保険に弁護士特約がついているのであれば、弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
一度、自身の加入している保険会社に確認してみるのがよいでしょう。
むちうちの治療費(慰謝料)を打ちきられることも…
加害者側の保険会社が治療費を支払ってくれるのには、期限があります。
一つは、被害者の怪我が完治(治癒)したとき。もう一つは、被害者の症状がよくならず、症状固定と医師に診断されたときです。
しかし、これ以外にも、保険会社が「治療費を打ち切り」にしてくるパターンがあります。
保険会社が治療費の打ち切りをする原因3つ
保険会社も、客観的な立場で判断しなければなりませんので、痛いのかそうでないのかわからない人に、延々と治療費を支払ってくれる訳ではありません。
保険会社が治療費を打ち切りにするのは、3つのパターンがあります。
①通院頻度が低い
前述もしましたが、最低でも週1〜3回は通院しましょう。
1ヶ月に1回、隔週など、お仕事もあるのでなかなか難しいかもしれませんが、あまり通院を続けないと保険会社から「本当は痛くないのでは?」と思われてしまう可能性があります。
②漫然治療
その怪我にあまり関係のない治療や施術ばかりやっていると、これも①と同様に「あまり痛くないのでは?」と思われる可能性があります。また、炎症が抑えられ、痛みが減ってくると、マッサージや整体だけでは、「すでに回復した」と思われてしまいます。
自分が今受けている治療や施術が、何のために行っているものかを確認する必要があります。
③保険会社に感情的にあたる
感情的に接し、あたると、賠償金を多くもらえると思う方も多いようですが、そうではありません。論理的に、根拠に基づいて判断をしています。
感情的になって、話の通じない被害者では、すんなりと示談に進めません。
納得できない示談になってしまったとき、異議申し立てをすることは可能です。ご自身も冷静な判断は忘れずに。
保険会社から治療費を打ち切られないようにするには
上記で述べたように、保険会社から治療費を打ち切られてしまう理由は様々です。それでは、治療費を打ち切られないようにするには、どのような通院の仕方や治療の受け方をすればよいのでしょうか。
整形外科での検査を定期的に受けながら症状の経過を追い、接骨院での施術を受けるよいでしょう。整骨院では、患部を冷やしたり温めたりする罨法(あんぽう)や後療法、電気療法の施術を受けていただくことがおすすめです。
痛みがある場合でも、加害者側の保険会社が治療費を出し続けてくれるわけではありません。後遺症を残さず、早期に症状を緩和させるためにも、定期的な通院を続けることが大切です。